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昨日は面白い展示を見てきた。Musee D'ethnographie de Geneve(ジュネーブの民族博物館) の Villa Sovtica(ソ連の別荘と言う意)である。
もともとこの博物館の建物が地下一階、三階建ての普通の家を使って運営されているので、このようなタイトルになっているのだと思うが、私はごく一部の人にしか味わうことの出来なかった、豪華絢爛たる貴族の暮らしぶりを垣間見る気持ちで期待して行った。

がしかし全く違った。

展示は4つの部分に分かれている。
第一部はソ連時代の普段の生活に使っていた、食器、子供のおもちゃなどが無造作に置かれている。しかし、それは私たちが普段目にするものと何も変わらない。ニヨンのセカンドハンドショップやがらくた市場そのままである。正直言って私はがっかりした。(昨日は無料であったが)入場料を払ってまで見る必要があるのだろうかと。

第二部は9人のコレクターによる展示である。何を集めたかと言うと
Cheburashka人形(耳がやたら大きいキャラクター人形)
レーニンのバッジ
クリスマスの飾り
電動かみそり
紙の着せ替え人形の服 等である

どれも1つのショーケースに収まる程度のもので、収集癖のある人が、あらゆるビールのビンの栓を集めました的な印象を与える。いずれもソ連時代に製造されたものであること以外に、それぞれのコレクションに全くの関連性はない。

第三部の一部屋にはラジオがぽつねんと置いてあり、そこから拍手が絶え間なく流れている、少し不気味な空間だ。他の部屋へ行くと、これまたがらくた的な家具が、天井近くまである大きな白い布に四方を囲まれていて、近くに脚立が設置されている。見たい人はこれに登れということだ。またその次の部屋には、車のショールームのような部屋いっぱいのショーウィンドーの中に、荷物がパンパンに入った旅行かばんが一つ置かれている。

第四部は毎週ワークショップをやっているらしく、そこでできた作品を随時展示していくという参加型になっている。


さて、この展示は何を言いたいのだろうか。私は判然としない気持ちで外に出た。因みにこの庭から見るジュラ山脈の景色は素晴らしい。

一つ気付いたのが、これほど博物館の学芸員の趣向が表に出る展示は見たことがないことである。あったとしても「~の世界」とか個展であって、このような具体的なタイトルではやらない。
逆に"展示"すること自体の意味を問いかけているのではないかと思った。
なぜ人々に分かりやすく、納得のゆく物だけが展示されるのかと。

要するに最初の部分で来館者ががっかりすることも、今ひとつ趣旨が見えない展示方法も、この学芸員にとっては全て計算済みなのである。展示方法も、"これはいつどこで、どのように使われてました"という事実よりも、"物そのものを生かす"方法をとっている。
ただのコレクションでは物が錆びた過去のものになっているが、それを主人の自慢のコレクションに見せるだけで、生き生きしてくるし、脚立に登って見るのも天井裏を物色しているようで楽しい。

今回いかに自分の先入観が固執しているか教わったと同時に、普段の展示が人々に分かりやすく思った通りのものが、想像通り美しく陳列されているか、物の生かし方を改めて考えるきっかけとなった。
そして学芸員がその立場を通して、何かを自由に表現している姿は素晴らしいと思った。

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